Ciftの役割チームと「新しい贈与論」


Ciftには「役割」を担うチームがある。拡張家族というコミュニティの中で、全体最適を考えつつ、みんなそれぞれのことを大事にし、Ciftがコミュニティとして育っていくための多様な役割を分担している。

常時動いているものとして、すでに詳説した「人事」のほか、広報、メディア、会計、各拠点担当。そのほか一時的なものもあり、周年チーム、拠点立ち上げ等のプロジェクトはそれにあたる。7月のオープンに向けて絶賛稼働中の我々京都ハウス立ち上げチームもここに入る。

各役割が何をどれくらいしてくれているかは、Cift家族(メンバー)どうしでも充分に理解されているとは言いがたい。2020年6月時点で動きのある役割について、ここでもう少し紹介してみたいと思う。各役割担当がメンバーのために詳説した資料から、以下、簡単にかいつまむ。

■広報チーム 2名
Ciftの世界を世の中に知ってもらう役割を担う。メディアからの取材対応や調整を引き受けるほか、Ciftが外部からどう見えるか、またどのような反響があるかといったところにも目配りをしている。

■メディアチーム 3名
Cift内のコミュニケーションを外にも開いていくCiftメディア(このサイト)の運営とメンテナンス。新メンバーの登録や紹介記事掲載、記事の企画編集、メンバーの発信サポートなどを担う。

■人事チーム 8名
メンバー候補者に対して、月数回のCitf説明会を実施。複数人で適宜ローテーションを組み、個別対応や対話なども行う。以前は藤代健介が一人で担っていたが、現在は有志によるチーム制で行っている。

■メンバー候補者との窓口担当 1名
Cift家族の新規紹介を受けるところから、説明会や対話のコーディネート、日程調整、入会に関する手続きや入会後フォローまで一連のやりとりを行う。現在は人事チームのコアメンバーが兼任している。

■会計担当 1名
CiftBank(後述)の入出金を管理する。人事と連携して行う家族メンバーの増減に伴うお金関連の手続き全般、拠点交付金、役割費、Cift契約室関連等の他、プロジェクト型企画等に伴うお金関連のとりまとめ。帳簿記帳、請求書及び領収書発行、税理士とのやりとりも担う。

■会議チーム 2名
毎月20日の定例家族会議、隔月で行われる役割会議の運営、進行、ファシリテーション、議事録作成等。その他、緊急家族会議のコーディネート、不定期実施の家族対話も企画する。

■CAST拠点担当 2名
CAST入居希望者に対する入居前の拠点説明会、Ciftエリアの入居状況ケア、共有部の利用サポート、ローカルルールの可視化など、管理会社とも連携し、CASTを拠点に拡張家族として「共に暮らす」社会実験のコミュニティマネージメント機能を担う。

■松濤ハウス経営チーム 3名
拠点の一つ(松濤)をそこで暮らす住人同士で自律的に経営するという営み自体が、どのように「拡張家族」という理念の実現に生かせるかを実践的に研究し、Cift全体にフィードバック。ファイナンスの可視化、松濤で生まれているco-livingの価値や意義の発信も行う。

【TEMPORARY(一時的)】

■京都ハウス立ち上げチーム 5名
Cift京都の拠点となる「京都下鴨修学館」のコンセプトメイキング、プラン検討を、オーナー、管理会社、建築家等と共に行う。入居希望者のコーディネート、拠点説明会開催、修学館全体のコミュニティマネージメントプランの立案・運営等。

■人事対話チーム 2名
有志発案により、Ciftメンバーとの個別対話を実施。全員対話を目標に各1時間程度。価値観や世界観を共有し、またCiftに対する考えや違和感をヒアリングし、意識の共有度向上を図る試み。

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Ciftは拡張家族であり意識家族ではあるが、実体と実動を伴う生活コミュニティでもある。入会金と賛助会費はそこで必要になる資金に充てられる。この共有財産を通称CiftBankと呼んでいる。家族のアクションをたすけ、不測の事態の支えとなる、経済的で実際的な、しかし有機的かつ人間的でありたい機能である。

上記のような「役割」を担うメンバーに対しては、このCiftBankから謝礼を拠出している。一般的な相場を度外視した薄謝だが、金額よりも謝意と認識と継続性を考えた結果、こうなってきた。

なお、賛助会費は当初は組合費と言った。ここからも察せられるように、もともとは互助・互酬の概念が根底にある。互いの助け合いと感謝の応酬がコミュニティの前提にあるわけで、Ciftが「拡張“家族”」というメタファーでつかまえたいイメージのひとつがここにあるだろう。

だが、互助や互酬はともすれば「交換」に変じうることにはよくよく注意したほうがいいと思っている。等価交換に馴染みすぎた我々の日常生活がつくるマインドセットはあらゆる行為に交換の性質を帯びさせる。贈与でさえ例外ではない。

例えば、恋人同士がクリスマスプレゼントを交換するのは
贈与だと思いますか?それとも交換でしょうか?

集団での寄付を実践するコミュニティ「新しい贈与論」を運営する起業家・桂大介が、あるインタビュー記事の中で、そんな問いを投げている。桂さんは「これは基本的には贈与なはずで、だけど交換的なニュアンスが少なからずありますよね」と言い、

贈与っていうのは負担なんですよ。暴力的なんです。
相手に返さなきゃというような負い目を負わせる。
その負い目を負わせないために貸しや交換ということにするんです。

と、「贈与」の複雑でうつろいやすい姿を描出している。互助・互酬の危うさも実はここにあって、日本の講や連や結が素敵なだけのものではないことにも通じる。互助・互酬を関係の強要や相互監視にしないためには、もうひとつ違うレイヤーでの何かが必要なのだろう。

では、Ciftで行われている「役割」と謝礼は、これはどういう行為なのだろう? CiftBankは? 入会費は? 賛助会費は? 贈与なのか、交換なのか、あるいはもっと違う何か別の性質を帯びているのか。そしてまた、顔の見える関係での「贈与」は成立可能なのか。

ここはぜひ一度Cift家族のみんなと話してみたいし、

自分が贈与していると認識してしまってはもうそれは贈与でなくなってしまう。

とさえ言っているイシス編集学校の同志で友人でもある先述の桂くんと交わしてみたいところでもある。