沙織国の革命前夜 ー新時代の胎動は、力無い名ばかりの主君を翻弄するー


革命前夜

【革命】かくめい

1.
天命が革(あらた)まること。前の王朝がくつがえって、別の王朝がかわって統治者となること。易姓革命。

2.
被支配階級が、支配階級を倒して政治権力を握り、国家や社会の組織を根本的に変えること。 「フランス―」

岩波書店の「国語辞典」によると、革命とはこういう意味らしい。

2017年に妊娠・出産を経験した神田沙織を王政国家になぞらえて、その身に起きた革命前夜までの歴史をひもといてみよう。

29年間、自分の体と人生を我が意のままに生きてきた。主君であり主権を振りかざしこの世を生きる限り絶対王政を敷いているはずだった。

しかし、突如新たな天命がくだり、それまでの体制では国家を維持することが困難となった。

それどころか、ほんの少し前までは支配下にあったひとつの細胞が突如意志を持ち、みるみる勢力と実権を拡大して体の中にバリケードを築き自治区となった。羊水という外濠に守られた、子宮に一夜城を築き上げてしまった–––。

自治区は新興都市となり膨張を続け、国家領土の輪郭は以前の地図が役に立たないほどに形を変えた。もはや旧体制の主君の声はかき消され、新たな時代に向けた期待と不安が入り混じり、混沌の中で市場だけは活気を増して行った。
※この頃、アマゾンファミリー砲が火を噴いた。混乱特需。

そうして来たるべき革命の時がきた。新時代の胎動は、力無い名ばかりの主君を翻弄する。

思い返せば29年という長くも短いその年月、元号を沙織とするその沙織時代は、まさしく混乱の月日であった。

近年こそ、黒船に乗船した平本大陸からの使者、知樹と和平を結び、数年の蜜月といわれる発展と平和を実現した稀有な時代ではあったが、発展の先には革新を求める者が現れるのは必然であった。

沙織国の建国

沙織は、1985年6月19日に豊後で誕生。2年後には弟という名の属国・雅俊を従えて生まれた土地の勢力を飲み込む勢いで戦国時代を駆け抜けていった。

約18年に及ぶ内乱(佐伯の乱)を経て、女帝としてその名を轟かせた沙織国は東京を目指して東征、学問を修め新たな地の任官としても認められ、東京においても沙織国の領地を築いた。

そうして東京における沙織の10年に渡る遠征が、沙織国というひとつの形で実を結ぼうとしていた。沙織国には渡来人も多く、兼ねてより密輸入も懸念されていたが、平本大陸より遣わされた知樹との公約を結び、今後一切の雑交易を制限することとした。

知樹は算術と芸術に優れ、沙織国に技術革新および芸術色豊かな新時代をもたらした。これを、「知樹ー沙織体制」と呼ぶ。しかし、この体制下においてにわかに高まったのが二国の完全統一とも言うべき、更なる新体制を求める名もなき民の声であった。

新国家「知樹ー沙織体制」の首都計画

知樹ー沙織体制においては様々な新制度が導入された。代表的なものに、夫婦起業した株式会社wipや、FABスタジオ運営など当時としては新しい試みや諸外国からの影響を多分に受けたものであった。

しかしながら、そうした新制度にはひずみも生まれやすく、数度の遷都による財政の逼迫や、迫り来る後継者問題について議論を交わす日々であった。

長く交易を結んできた諸外国は、各々が福祉政策の充実を図り、子育てを重視した遷都なども相次いだ。知樹ー沙織体制における新国家の首都計画は、紛糾を重ねた末に先送りされ、ひょんなことからCiftという黒船がやってきてーーー!?

(未完。知樹を最初に黒船としたので、Ciftは宇宙船かな)

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2013年、夫と共に3Dプリンタの同人誌を自費出版しました。
2014年には、それを元にオライリー・ジャパンから夫婦共著での著作を出すことができました。
共に言葉を紡いできた夫から、君の気持ちを書いてみろと言われて書いたものの、いざ見せてみると「…こういうのは、Ciftのメンバーに見せたら?」と言われたのでみんなにfacebookで共有した文章。これをきっかけに、拡張家族が実現していく世界平和のためには、まず個人の平和実現が重要で、こうした内戦状態(産後の混乱と子育ての動乱は、内戦のようなもの・・!)をどう解決し、またそのプロセスを開いていけるかという議論につながった。

ところで夫は、どういうのだったら、よかったんだろ?