「拡張家族における親と子。自己変容型リーダーシップ」Cift2周年祭で僕が語ったこと


※この文章は、2019年5月25日に開催した「Cift2周年 ー家族の祝祭ー」の冒頭に話したスピーチをテキスト化したものです。

Cift2周年おめでとうございます!

早いもので、もう2年ですね。今回、昨年に続いて、こうして家族のみんなにコンセプトをシェアする機会を持たせていただきました。発起人の僕からのこういう話は、全体に対しては1年に1回くらいがちょうどいいですね(笑)。

Ciftはこの一年で拡張して、最近入ったメンバーでは僕のことを知らない人もいるだろうし、拡張家族の家族として来場してくださった方もいますので、まずはCiftのコンセプトをおさらいしましょう。

そして本日、特にお伝えしたいことは、この3年目が始まるタイミングで、Ciftのコンセプトの一部が自分の中でアップデートされたことです。それはCift家族の皆にもぜひ伝えたいメッセージになります。

 

それでは、一周年祭のスピーチでも話して、今も説明会で話されている内容ですが、今なりの補足も入れて復習していきましょう。

Ciftは“意識”を共有したコミュニティでありますが、同時に実際に“身体”を共有するプラットフォームを持っているのが特徴です。

Ciftの拠点はここSHIBUYA CAST.だけではなく、ここから20分くらい歩いたところにある松濤、みんながよく別荘的に使う鎌倉の稲村ガ崎、そして今年中にオープン予定の京都などがあります。


2年経った今、家族の数は増減ありましたが、トータルで言えば増えており、現在で60人超という数になっています。

そして、今でも毎月数人ずつ微増していっています。多拠点生活者だけでなく、Ciftを単拠点にしている人や、カップルや家族でメンバーになっている人も増えてきました。京都拠点が整備されたら、もしかしたら3年目には100人という数に達するかもしれません。

 

 

Cift家族の特徴の一つとして、多拠点生活をしている人が圧倒的に多いのも特徴です。最近入った家族の拠点はまだ載せられていませんが、現状で把握しているだけでも、世界中にCift家族のハウスがあることになります。

 

 

またCiftは肩書きの多様性も特徴的です。

一人でいくつもの肩書きを持つ人、そして肩書き自体をなんとも形容しがたい人がたくさんいます。家族同士でのコラボレーションは更に盛んになってきており、色々な場所で仕事なのか旅行なのか、はたまた両方かといった形で過ごしている写真が、よくSNSのタイムラインでシェアされています。

 

 

ここから話すコンセプトは、全員が合意しているものというよりは、自分がCiftを発足した時から今も持っている想いであり、各メンバーにもそれぞれCiftのコンセプトがあると思っています。ですので、これからのコンセプトは健介個人のものであると思って聞いてください。

自分にとってコンセプトとは、目的と手段を因果関係で結んだものだと定義しています。その上でCiftでは、「共に働く・共に暮らす」というダブルコンセプトで構成されています。

「共に働く」では、平和活動という目的のために、私たち自身が拡張家族になるという手段をとります。「共に暮らす」では、拡張家族になっていくという目的のために、一人一人が自己変容するという手段をとります。

 

 

拡張家族はCiftがCift足らしめている言葉でもあり、よくメディアでも取り上げられています。

この1年は、テレビや新聞、雑誌やウェブメディアなど数々のメディアに取り上げられました。私たちの活動を通して社会にムーブメントを作りたいキーワードと言えるでしょう。

拡張家族という言葉は矛盾に満ちています。家族という閉鎖系の深める関係性の中で、拡張という拡散系の広めていく関係性をどのように担保するのか。

私たちには、その答えがありません。問いを持ち、常に答えを求め続けることこそ創造的な行いだと考えています。

そして家族の中には、“個人”としての私と“家族”の一員として私が同居します。それは、“ひとり”と“ひとつ”という関係性であり、ここにも矛盾があります。

この矛盾をいかに動的に平衡させ昇華していくのか、それこそがCiftが掲げる拡張家族です。

 

 

私たちは、自分たちが目的ではなく、それを包含した全体である世界を目的としています。テーマは平和であり、その時に、私たちはこの時代の中であえて市民という立場をとります。市民だからこそできるムーブメントをここから起こしてきます。

言うならばCift全体としてのアート活動、個人の輝きだけでなく、全体として輝く中で、社会に平和的思想の啓発と実践の方法を広めていこうとするのが私たちの存在目的です。

そしてその表現コンテンツは私たちの社会実験そのものであり、この実験内容にも、個人・家族・経済・政治・企業と次元の違うものが存在しています。

現状でメディアに取り上げられているのは、まだまだ個人と家族くらいですが、ここから社会も成熟し、Ciftも進化していく中で、Cift内での経済や政治、そして外交といった国家のような機能における学びもまた対象になってくるでしょう。

 

自己変容とは、自分の中で失われた全体性を他者と相互作用することで取り戻していくことです。

個人の中に関係性と主体性という矛盾関係が立ち現れ、それを昇華させていくさまが自己変容であり、Ciftの中では日々の生活の中でそれを行なっていこうと言うことを家族としてジョインするタイミングで皆に共有しています。

ここまでが一部アップデートしたところもありますが、今伝えているCiftのコンセプトです。

そして、今日皆さんにメッセージとして伝えたいことは、この一年の日々の生活の自分が気づいたことです。

それは、個人としての試みは自己変容だけでは不十分だったのではないかということです。自分はここで、自己変容に代わり自己変容型リーダーシップという言葉を持ってきたいと思います。

この言葉自体はまだこなれていないので、何かしらの形でアップデートできたらいいなと思っていますが、この世界観について詳しく見ていきましょう。

 

自己変容型リーダーシップとは、個人の中での内と外の在り方を統合したものです。

内を解いてく自己変容と、外と結んでいくリーダーシップ。矛盾した対の関係ですが、もし皆がこの矛盾を昇華した姿になることができたとしたら、それはコミュニティにおける真のリーダーと言えるのではないでしょうか。

最近、自分はTeamboxというリーダートレーニングの会社でお世話になっているのですが、そこで共有していただいたリーダーシップの在りたい姿勢と行動がこの5つです。

どうでしょうか。自分の感触だとCift家族の皆は姿勢については比較的できている気がしますが、行動についてはまだそこまで見られていない気がします。

2年やってわかったことは、例え家族だとしてもそれは組織であると言うこと。そして組織である以上、リーダーシップというものは必ず必要になると言うことです。リーダーシップとはなんでしょうか。

 

 

これは、半年前くらいからCiftの経験の中で気づき、既に他の組織やコミュニティづくりで自分が提示しているモデルです。

ここでは、拡張家族というコミュニティの中に、「父」と「母」と「子」という役割があるとしています。

家族という言葉に対して、解像度を一つ上げました。

ここで伝えたいことは、拡張家族の中で創造的市民として、社会実験をするアート活動は、「子」としての働きであると言うことです。

その裏には、全体最適を考えて、Ciftというプラットフォームを「母親」のように、みんなに居場所を与えてくれようとしてくれている存在がいるから成り立っています。

また平和活動という意味では、Ciftをプロデュースする「父親」のように、みんなに役割を与えてくれようとしている存在がいるから成り立っています。

 

それを具体的に見てみると、毎月20日にやっている家族会議を筆頭に、Cift家族の中でそれぞれ父的役割、母的役割を担ってくれている人たちが既にたくさんいます。

皆さんが支払っている組合費のおよそ50%は、いま彼らの人件費に払われていますが、それは通常の相場とは比べると些細な気持ち程度です。

それでも彼らはCiftという全体のために働いてくれています。私は、彼らに日頃の行いに対して心から感謝を述べたいと思います。

そして、これら役割チームだけでなく、スポット的にも、自主的にもそのような活動をしてくれている人たちが他にもいます。

この二周年は皆さんもご存知のように、だいのギブの精神で成立したものです。

自分が把握できていないのもあるかもしれませんが、Ciftというのは皆が創造的市民としてアートしていくために、全体を見て活動していてくれる人を忘れてはなりません。

そして彼らこそが、自分が今回シェアした自己変容型リーダーシップを発揮してくれていると思っています。

なぜCiftを始めたのか。その理由には時代背景があります。

それは、日本では明治以降に育まれた人間中心の近代の概念をいかに卒業し、主体的全体の人類へとパラダイムシフトしていくのかということに関心があるからです。

それには、主体的な自分の意志で、個人よりも全体を優先する姿勢と行動が必要であり、そこに自己変容型のリーダーシップがあります。

つまり、自己変容型リーダーシップとは、スケールは違えど、全体という中での振る舞いとして、今後の人類として求められているものであるということです。

難しく考える必要はなく、家族で言うところの親の振る舞いがまさにそれに当たるでしょう。しかし、ここで私たちが挑戦するのは、血縁といったある種の外的条件ではなく、内的な共感から同じような愛の意識が自分の中で芽生え、かつ行動に移すことができるのだろうかということです。

そして、さらにここからが面白い部分ですが、Ciftという拡張家族の中では、時と場を見ながら、個人が親と子の振る舞いを切り替えながら、相手と相互作用することができるようになるのです。

“ひとり”であることと“ひとつ”であることを、個人のレベルで動的平衡すること、それをもし全員ができるようになれば、今自分が考えている中でのコミュニティにおけるメンバーシップの最高の形だと思っています。

その上で、もう一度この自己変容型リーダーシップという言葉を見ていきます。

自己変容における内に解くということは、自分に厳しくあること、そして自分に期待をすることです。リーダーシップにおける外に結ぶということは、他者に優しくあること、そして他者を信じることです。

これは親が子にしてあげる気持ちを考えれば、イメージがしやすくなります。

とはいえ、自分も子供はまだ授かっていないので、あくまで想像の範囲だということをコメントさせていただきます。

発足時から引用させてもらっている、ガンジーの格言です。

自分は今までこれを内的自己変容だと思っていました。しかし、それでは不十分で外的リーダーシップもまた必要なのだと気づきました。

そして、それが今のCiftにシェアしたいメッセージだと思いこの場で共有させてもらいました。

もし自分が、Ciftとはどういう場所であるかと聞かれたら、「愛を学ぶための21世紀の道場」だと答えます。

ぜひ拡張家族の中で、

個人で自己変容しながら、

全体へリーダーシップを発揮していきましょう。

そしてそれを全員が行えるようになったときには、今まで見たことのないようなコミュニティでの相互作用が生まれるかもしれません。

ありがとうございました。