腕っぷしの強い人生を生きてきました


朝起きたらコップ一杯の水を飲んでから
おもむろに冷蔵庫から卵を二つ取り出し、
卵白だけ割り入れ寝ぼけ眼で腕力のみでメレンゲを泡立てます

最盛期42kgの握力がその後どうなったかは知らないけど生クリームでもメレンゲでもハンドミキサーいらずでやってまいりました

そうしてホットケーキミックス(いちおう糖質オフ食物繊維プラススイーツへの執着リミットレス)の方には目分量の牛乳と先程の卵黄と賞味期限なんだっけそれなヨーグルトを投入してこちらはサクッと混ぜ合わせます

エシレより美味しいという噂の国産バターをフライパンにひきましたら、バターが溶けたところで生地の方を仕上げにかかります

ムチムチトロトロのホットケーキミックスヨーグルト入りに、メレンゲをふわりとのせまして泡が潰れないようにさくさくと切り混ぜるようにふたつをひとつにいたします

混ざり合うはずのないものを切り分けながら混ぜるという矛盾

なんだか人生のようですねとか誰かの声がするようなしないような中、フライパンに生地を投入

生地が着地してしゅわしゅわと焼け始めたら、焼き色も付かないうちにフライ返しで底面をいけずにいじめます

香りが立ってきたなというくらいでもうひっくり返してふたをして
どうですか、このbillsのようなぽってりした段違いのなんちゃってリコッタチーズパンケーキ

リコッタチーズは入ってないので、ただのヨーグルトメレンゲパンケーキなのですが半熟のトロトロ加減と淡い焼き目は控えめに言ってbillsです
それでこのパンケーキブランチに家の人を誘うでしょ?食べないわけ。味噌汁。とか言う

二日酔いの朝にはしじみの味噌汁が良いとか言う人、前日自分で出汁とってるのかね。安心して酔っ払って誰かが提供してくれる朝を含めて味噌汁と言っているのであればそれはこの家にはないぞ。

梅昆布茶でも飲んでろ!と大天使ばりにサービスしてからひとりで食べるパンケーキ

夕方サッカー帰りの腹減り小僧に車内でおすすめしたら車窓から見た観光地の団子が食いたいと言われようが、うまいもんはうまい。ほらみよ、食べておるではいか。



私は私の食いたいもんを食う。

つくれるものしかつくらない。

得意じゃなくったって作りたい時に作りたいものを作れるなんて最高の贅沢でわがままだとおもうのに、義務感なんかで振舞ってあげない。

子どもが真ん中というわけでもなく、料理は妻が母がではないはずが、まあ99%つくってはいるけど、作りたくない日は好きなものを食べに行くか買ってくる日なのでそれはそれでよし。



自分で自分の胃袋を掴む、これが一番間違いない。


人生最後の日に食べるものが何か、それを自分の腕で作ってやろうじゃない。

と思わないでもないんだけど、どうやら私の思い出の食卓は場面も登場人物も多すぎて走馬灯もパドックから大混雑な予感。



まさきが断食明けに作ってくれた食べ慣れない赤味噌の具なし味噌汁

健介が気まぐれに振る舞ってくれた茄子の煮浸しみたいなやつ

あゆみにリクエストしたシュガーコーンにスクープしたデザートみたいなポテトサラダ

よしこちゃんが私より先に3歳児と半日過ごした日に作ってくれたオムライス
(子守の入れ替わりで私は会わずじまいだったのに、私の分もしっかりあった)

ソウダルアの松濤で繰り出される正解だらけの原色図鑑みたいな長い名前の料理

アンジュのちょっと辛めの大皿中華料理。(しかも映えてる)

リアルおかんが食材と共に上京してみんなで食べた大分唐揚げと魚の干物

だいがチャラくちゃっちゃと作ってくれためっちゃ優しい味のチャーハン

トムちゃんと歩いて食べに行った渋谷のサーティーワン(31歳おめでとう)

1312沖縄ファミリートリップでエリが作ってくれたゴーヤチャンプルー

ルイくんが3歳児に仕込んでくれた手捏ねピッツァ

容子と催したショートショートショートケーキとチーズチーズチーズケーキの祭典

ジンくんに仕事のピンチを助けてもらって御礼に贈って一緒に食べた飛騨牛

えみかとモバイルハウス誕生前夜に寄った不思議なバーみたいな喫茶店のランチ

ローラと一緒につついたCiftクリスマスのあゆみブッシュドノエル



数え切れないほどの瞬間を共有した家族と離れても、今日も共にある。


私の胃袋は掴ませずとも、あなたと共にした食と祈りが、今日を生きる私の血肉となっている。



Cift4周年おめでとう、ありがとう。

会いたい。(食べたい)